匿名医師ブログ

こんにちは!匿名医師です、現役医師(専門医取得済)による日記です。一般の方からの質問に答えているのでちょっとずつ載せていきます。http://www.freelifedoctor.com/ よろしくお願いいたします!

ホーキング博士の10のビッグ・クエスチョンの答え!タイムトラベルやブラックホール、更には地球の将来について言及!必見!

10のビッグ・クエスチョン
1 神は存在するのか?
2 宇宙はどのように始まったのか?
3 宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?
4 未来を予言することはできるのか?
5 ブラックホールの内部には何があるのか?‬
‪6 タイムトラベルは可能なのか?‬
‪7 人間は地球で生きていくべきなのか?‬
‪8 宇宙に植民地を建設するべきなのか?‬
‪9 人工知能は人間より賢くなるのか?‬
10 より良い未来のために何ができるのか?‬

 

 

 

①神は存在するのか?

 

回答:

神とは人格を持たない自然法則である。宇宙は物質とエネルギーと空間があれば作ることができる。では、何がビッグバンを引き起こしたのか?

その質問は意味をなさない。

なぜならビッグバン以前には時間が存在しなかったのだから、神が宇宙を創造するための時間もなかった。

要は地球の端に行くためにはどちらの方角を目指せば良いのかという質問の答えは端のない球なのだからその行為に意味がないのと同様に意味がない質問である。

科学的には死後の世界もない、人間は死ねば塵に帰る。

 


まとめ

宇宙は科学法則によって決定された始まり方をしたため神は存在しない。

万が一、神が存在するのであれば、11次元のM理論のような複雑なものを、あなたはどうやって考えたのですかと尋ねてみたいと言っています。

はぁ。うっとり。

 

 

 

②宇宙はどのように始まったのか?

 

回答:

アインシュタイン一般相対性理論と、宇宙にはたくさんの歴史があるというファインマンのアイディアを組み合わせて、宇宙で起こることのすべてを記述する完全な統一理論にしようとしており、その統一理論があれば、ある時刻の宇宙の状態がわかれば、宇宙がその後どのように進展するかを計算することができると述べています。

しかしその理論は、宇宙がどのように始まったのか、そして宇宙の初期状態がどんなだったのかは教えてくれません。

それがわかるためには、境界条件、すなわち宇宙の果て、空間と時間の端がどんなふうになっているかという情報が必要です。

しかしどんな境界条件があればいいのかは明らかではないし、どんな種類の境界条件を選ぶべきかという論理的な基礎もない。

そして別の可能性、もしかすると宇宙には、空間と時間の境界がないのかもしれない。

ホーキング博士が証明した定理によれば、宇宙には始まりがなければならないが、ファインマンのテクニックを数学的によく定義されたものにするために虚数時間という概念を作り出しました。それは、私たちの経験する実数時間とは何の関係もありません。

要は虚数時間には境界がないということ。それならば、境界条件をひねり出す必要もない。これを、「無境界」と呼んだ。

もしも宇宙の境界条件が、虚数時間には境界がないということなら、宇宙の歴史はひとつだけではなく、虚数時間にはたくさんの歴史があり、それぞれの歴史が実数時間における

ひとつの歴史を決定する。そのため、宇宙には膨大な数の歴史があることになる。

そしてM理論は、たくさんの異なる歴史に対応して、非常にたくさんの宇宙が何もないところから生じたと予想するので他の宇宙も存在する可能性はある。

更に今後の宇宙に関して、もしもある臨界質量よりも多くの物質が含まれていれば、銀河同士が引き合うように働く重力のために宇宙の膨張速度は減速し、最終的には銀河は互いに引き合い、全てが激しく合体するビッグクランチを起こす。要は宇宙の、そして世界の終焉です。200億年後とか言われているので我々には関係ないと言ってしまえばそれまでですが。

 


まとめ

ビッグバンの前には何があったのか。

「無境界」の提案によれば、ビッグバンのに何があったかと問うことには意味がない。「前」を示すために必要な時間の概念がないからだ。それを問うことは、南極点のさらに南には何があるのかと問うのに似ている。時間の概念があるのは、私たちの宇宙の内部だけだから。

ふぅ、頭がパンクしそう。

 

 


③宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?

 

回答:

第一の可能性として、もしかすると生命が自然発生する確率は非常に低くて、地球はそれが起こった銀河系で唯一の、あるいは観測可能な宇宙で唯一の惑星なのかもしれない。もしくは細胞のような自己複製する系が形成される確率はそれなりに高いが、そういう生物のほとんどは、知性を進化させなかったというものがある。私たちは、進化が起これば必然的に知的生命が出現すると考えがちだが、長期的に見たとき、知性が生き残りに役立つかどうかも明らかではない。私たちが作り出したもののせいで、地球上の生物がほとんど絶滅したとしても、細菌などの単細胞生物は生き残るかもしれない。

そして進化の時系列ということで言うと、単細胞生物から知性の先駆けとして不可欠な多細胞生物に進むまでには長い時間(二十五億年)がかかっていることからして、知性が進化する確率はかなり低いのかもしれない。二十五億年という時間は、太陽が大きく膨らんで地球を飲み込むまでに、知的生命の進化に使える時間のかなりの部分を占めているから、生命が知性を発達させる確率は低いという仮説と矛盾しない。


第二の可能性は、小惑星や彗星の衝突です。1994年、シューメーカー・レヴィ彗星が木星に衝突して、一連の閃光が観察された。およそ6600万年前に比較的小さな天体が地球に衝突したときには、恐竜が絶滅したと考えられている。

少数の小さな哺乳類は生き延びたが、人間程度のサイズのものは、ほぼ確実に消滅したと考えられる。

そんな天体の衝突が起こる頻度について何か言うのは難しいが、平均すると、2000万年に一度ぐらいと見るのが妥当だろう。もしもこの数字が正確なら、地球上に人類が存在するのは、過去6600万年間に大きな衝突がなかったという幸運のおかげだ。銀河系内で生命が進化したほかの惑星は、知的生命が進化するほど長く、衝突の起こらない期間がなかったのかもしれない。


第三の可能性は、生命が形成され、知的存在を進化させる見込みはそれほど低くないのに、その生物系が不安定になり、自らを絶滅させる確率はそれなりに高いというものである。

 
そして、ホーキングのお気に入りの可能性、第四の可能性です。

宇宙には、私たちとは異なる形態の知的生命が存在しているのだが、これまで見逃されていたというものだ。2015年に、ホーキングはブレイクスルー・イニシアチブ(知的生命を探査する世界的プロジェクト)の立ち上げに関わった。

その中のブレイクスルー・リッスンは、電波望遠鏡を使って地球外知的生命体を探査しようというもので、最先端の施設と潤沢な財源、そして数千時間という電波望遠鏡の観測時間を与えられている。地球以外に文明が存在する証拠を見出そうという科学研究プログラムとしては、過去最大級の規模となる。

もう一つのブレイクスルー・メッセージは、進歩した文明に解読可能なメッセージを作る国際コンペティションだ。しかし、私たちがメッセージを受け取ったとしても、ある程度事情がわかるまでは、返信することには慎重であるべきだと述べています。

進歩した文明との遭遇は、今日の私たちの発展段階では、アメリカの先住民がコロンブスに遭遇したときのようなものになりかねないからです。

 


まとめ

もしも地球以外のどこかに知的生命がいるのなら、それは私たちが知る生命と似ているでしょうか、それとも異なるでしょうか?

そもそも地球上に知的生命なんているのでしょうか?

というのは冗談として、もしも地球以外のどこかに知的生命がいるのなら、その場所はずいぶん遠いはずです。さもなければその知的生命は、すでに地球に来ており、そして知的生命が来ていれば、私たちはそれに気づいています。そして、その出会いは、かなり敵対的なものになるとホーキングは述べています。

私も第四の可能性にかけたいなー。夢がある。

 

 

 

④未来を予言することはできるのか?

 

回答:

ラプラスの時代から今日にいたるまで、ある時刻における宇宙の状態が、そのほかすべての時刻における宇宙の状態を決定するという考えは、科学の中心教義でありつづけています。

そのことが意味するのは、少なくとも原理的には、未来は予測できるということです。

しかし現実には、解かなくてはならない方程式が複雑なうえに、しばしばカオスと呼ばれる性質を持っているために、私たちが未来を予測する能力は厳しく制限されています。

オーストラリアで一匹の蝶が羽ばたいたためにニューヨークのセントラルパークで雨が降ることもありえる。問題はその成り行きが再現不可能なこと。次にその蝶が羽ばたいたときには、様々な状況が前とは変化していてその変化が天気にも影響を及ぼすからです。

ラプラスが思い描いた科学的決定論では、宇宙に存在するすべての粒子について、ある瞬間の位置と速度を知らなければならない。

量子力学ハイゼンベルク不確定性原理は、この決定論を根底から突き崩しました。

アインシュタインは、自然界のこの明らかなランダム性が大いに不満だったようです。

彼の考えは「神はサイコロを振らない」という有名な言葉に集約されているが、彼は不確定性は暫定的な妥協策にすぎず、その背後には、粒子はきちんと定義された位置と速度を持ち、ラプラスの精神にのっとった決定論的法則に従って推移する実在があると思っていたようです。

アインシュタイン以外の科学者たちは、19世紀の古典的決定論の観点に修正を加えることにそれほど抵抗しませんでした。

そして、量子力学という新しい理論が提唱されました。

そして量子力学ができてから七十年以上になるけれど、実際にそれを使って計算をしている人たちでさえ、いまだにこの理論をよく理解しているとは言えないし、心から納得しているわけでもないようです。

量子力学においては、粒子はきちんと定義された位置と速度を持たない。その代わりに、粒子は波動関数と呼ばれるもので表される。波動関数というのは、空間の各点に与えられた数です。

粒子の波動関数には、その粒子について知りうることのすべて、すなわち位置と速度の両方が含まれています。

もしもある時刻における波動関数がわかれば、別の時刻におけるその関数の値は、シュレーディンガー方程式と呼ばれるものを使って計算することができます。

つまりこの場合にも、ある種の決定論は成り立っているのだが、その決定論ラプラスが思い描いたものとはちがいます。

私たちにできるのは、粒子の位置と速度を予測することではなく、その粒子の波動関数を予測することだけなのです。

結果として、古典的な十九世紀の観点によれば予測できていたことの半分しか予測できないことになっちゃいますが。

量子力学によれば、位置と速度の両方を予測しようとすると不確定性が生じるが、位置と速度の特定の組み合わせについては、確定した値を予測することができます。

しかしそんな確かささえ、最近の進展により危うくなっているようなのです。問題が生じるのは、重力のせいで時空がひどく歪み、私たちに観測できない空間領域が生じた場合です。

ブラックホールの内部は、まさにそんな領域になっていて、ブラックホールの内部にある粒子は、原理的にも観測することができません。

つまり、その粒子の位置と速度はまったく測定できないのです。こうして、量子力学で見出された予測不可能性に加えて、さらなる予測不可能性を導入することになるのかどうかが問題になっています。


以上の話をまとめます。

ラプラスが提唱した古典的な観点によると、ある時刻における粒子たちの位置と速度を知ることができれば、それら粒子の未来における運動は完全に決定することができる。ラプラスのこの観点は、ハイゼンベルク不確定性原理を導入したときに修正を余儀なくされた。不確定性原理によれば、位置と速度を同時に正確に求めることはできない。それでも、位置と速度の特定の組み合わせなら予測することができた。しかしその制限された予測可能性でさえ、ブラックホールを考慮に入れれば消えてなくなるかもしれない、という事です。

 

 
まとめのまとめ

宇宙を支配する法則は、未来に起こることを

正確に予測させてくれますか?

ひとことで言うなら、その答えは「ノー」であり「イエス」でもあるとホーキングは述べている。宇宙を支配する法則は、原理的には未来を予測させてくれますが、実際にはそのための計算はあまりにも難しいことが多いとのこと。

ほぇー。計算さえできれば未来は予測できる。だけどその計算が難しくてできないから未来は予測できないって事だね。

 

 

 

⑤ブロックホールの内部には何があるのか?

 

回答:

ブラックホールを理解するためには、まず重力から始めなければならない。重力を記述するのはアインシュタイン一般相対性理論だが、これは重力の理論であるだけでなく、空間と時間の理論でもある。


アルベルト・アインシュタインは物質をある限界以上に圧縮することはできず、それゆえ星が重力の作用で崩壊することはないとする論文を書いた。
多くの科学者はアインシュタインと同じように考えていた。
重要な例外が、アメリカの科学者ジョン・ホイーラーで、星はいずれ崩壊すると力説し、そのことが理論物理学に提起する問題を調べた。


普通の星は、何十億年以上におよぶその生涯の大半を、水素をヘリウムに変える原子核反応で生じる熱的な圧力によって、自らの重力に逆らって自分自身を支えている。だが、星はいずれ核燃料を使い果たす。すると星は重力のために内側に潰れる。星の中心核が重力に逆らって、白色矮星と呼ばれる高密度の天体として残ることもある。しかし、白色矮星中性子星については質量に上限がある。


では、白色矮星中性子星になることのできる質量の上限よりも大きな質量を持つ無数の星は、核燃料を使い果たしたのち、どんな運命をたどるのだろうか。
のちに原子爆弾で名を知られるようになるロバート・オッペンハイマーはそんな大きな質量を持つ星は、内側からの圧力では重力崩壊に抵抗できないことを示した。そして、もしも圧力を無視するなら、均質で球対称性を持つ星は、無限大の密度を持つ一点に収縮することも示した。そんな点のことを特異点と呼ぶ。特異点は、空間と時間そのものの終わりを画する点なのだ。


アインシュタイン特異点はあるはずがないと考えたのは、そのためだった。
クエーサーという遠方の天体が発見され、その後続々と新たなクエーサーが見つかった。クエーサーは非常に遠くにあるにもかかわらず明るかった。原子核反応では、質量のほんの一部が純粋なエネルギーとして解放されるだけなので、クエーサーの莫大なエネルギー出力は原子核反応では説明がつかない。それ以外の説明として唯一考えられたのが、重力崩壊で放出される重力エネルギーだった。
こうして星の重力崩壊は再発見された。重力崩壊が起こると、その天体の重力は周囲にある物質すべてを内側に引きずり込む。均一で球形をした星ならば、密度無限大の一点にまで収縮するのは明らかだった。天体が均一かつ球形ではない場合にも、やはり特異点が生じる。


アインシュタイン方程式特異点では定義することができない。そのことは、密度無限大の特異点では、未来を予測できないということを意味する。ということは、星が重力崩壊を起こすときはつねに、何かおかしなことが起こっても不思議はないということだ。もしもその特異点が裸でなければ未来を予測できなくても、私たちに影響が及ぶことはない。ペンローズは、恒星やそのほかの天体が重力崩壊してできた特異点はすべてブラックホールの内側にあって、私たちの目には触れないようになっているという宇宙検閲仮説を提唱した。

ブラックホールは、重力があまりにも強いため、光さえもそこからは逃げ出せない領域だ。宇宙検閲仮説を反証しようといくつもの試みが行われては失敗しているから、この仮説はほぼまちがいなく正しい。
その後ホーキング博士ブラックホールの面積定理を発見した。もしも一般相対性理論が正しければ、そして物質のエネルギー密度が正なら事象地平すなわちブラックホールの境界面の面積は、そのブラックホールにさらに物質や放射が落下するたびに、つねに増大するという特徴を持つ。そればかりか、ふたつのブラックホールが衝突して融合してひとつのブラックホールになれば、その結果として生じたブラックホールを取り巻く事象地平の面積は、はじめのふたつのブラックホールを取り巻く事象地平の面積の和よりも大きい。

面積定理は、レーザー干渉計型重力波検出器(LIGO)を使って検証することができる。LIGOは、ふたつのブラックホールが衝突して融合したときに生じた重力波を検出した。波の形から、それらふたつのブラックホールの質量と角運動量を推定することができ、ブラックホール無毛定理により、これらふたつの量から事象地平の面積が決まる。
ブラックホールはいまも、事象地平の外側での全体としての質量、電荷角運動量だけで特徴づけられているけれど、事象地平そのものに、ブラックホールに落下したもののことを知るために必要な情報が含まれている。これについては研究が続けられており、情報パラドックスはまだ解決されていない。


まとめ
ブラックホールに落ちると何が起きるか?
ジョン・ホイーラーが「ブラックホール」という言葉を導入すると、この新しい言葉は、それまでの「フローズン・スター(凍れる星)」という名前に取って代わった。
ブラックホールの外部から、内部に何があるかを知ることはできない。ブラックホールに何を放り込もうと、そのブラックホールがどんな経緯で形成されたにしても、ブラックホールはみな同じに見える。ジョン・ホイーラーはブラックホールに関するこの基本的な事実を、「ブラックホールには毛がない」と表現したことで知られている。
ブラックホールには、事象地平と呼ばれる境界面がある。それは重力が光を引き戻して、脱出させないだけの強さになる面だ。光よりも速く動ける物体はないから、その面よりも内側では、光のみならず、あらゆるものがブラックホールに引き戻される。事象地平を通過してプラックホールに落ち込むというのは、カヌーでナイアガラの滝から落下するのとちょっと似ている。もしもナイアガラの滝の上にいるのなら、十分に速くカヌーを漕げば、滝から脱出できるだろう。しかしいったん崖の縁を通り過ぎてしまえば、一巻の終わりだ。そこから戻る方法はない。滝に近づくにつれ、水の流れはだんだん速くなる。そのためカヌーの先端のほりが、後端よりも強い力で引っ張られる。カヌーは引きちぎられるかもしれない。
ブラックホールの場合にも、それと同じことが起こる。足から先にブラックホールに落下したなら、足のほうがブラックホールに近いため、重力は頭よりも足のほうを強い力で引っ張るだろう。その結果として、細長く引き伸ばされる。もしもそのブラックホールが、私たちの太陽の数倍ほどの質量を持つなら、ばらばらに引きちぎられて、何本もの細いひも状になるだろう。しかし、もしも落下したのが太陽の百万倍もの質量を持つ巨大ブラックホールなら、身体のいたるところが同じ強さで引っ張られるため、何の困難もなく事象地平に到達するだろう。私たちの天の川銀河の中心部には、太陽の四百万倍の質量を持つブラックホールがある。
ブラックホールに落ちていくときは、何も奇妙なことには気づかないだろうが、遠くからあなたを見ている人は、いつまでも事象地平の向こうに消えていかないことに気づくだろう。落下する動きはどんどんスローモーションになり、事象地平のすぐ外側のあたりをいつまでも漂っているように見えるだろう。あなたの姿はしだいにかすんで薄くなり、色はだんだん赤みを帯びて、やがて視界から消えるだろう。外の世界にとってみれば、あなたは永遠に失われたことになる。


まとめると、宇宙旅行者がブラックホールに落下したらまちがいなく致命的な災難である。落下したのが普通の恒星程度の質量を持つブラックホールなら、事象地平に到達する前にぶちぶちに引きちぎられ、引き伸ばされてたくさんのひものようになる。

一方、落下したのが超大質量ブラックホールだったなら、事象地平を通過するときは何の問題もありませんが、特異点でぐしゃぐしゃに潰されてしまう。

恐ろしいですね、いずれにせよブラックホールに落下したら命はありません。

 

 

 

⑥タイムトラベルは可能なのか?

 

回答:

一般相対性理論は、私たちの宇宙観をがらりと変えた大きな知的革命だった。それは曲がった空間だけでなく、伸び縮みする時間の理論でもあった。

アインシュタインは1950年に空間と時間は互いに密接に結びついているということに気づき、そのとき生まれたのが、空間と時間を結びつける特殊相対性理論だった。
タイムトラベルをするためは、光よりも速く進む宇宙船がありさえすればよい。あいにく、アインシュタインはその同じ論文で、宇宙船の速度が光の速度に近くなればなるほど、加速に必要なロケットエンジンの出力は大きくなるということを示した。光の速度を超えて加速するためには、無限大の出力が必要になる。
光より速くは進めないと言うなら、もっとも近い恒星までの往復旅行に少なくとも八年はかかるし、銀河中心までの往復旅行なら五万年ほどかかるだろう。宇宙船が光の速度に近いスピードで進めば、その宇宙船に乗った人たちにとって、銀河中心に行って帰るためには、ほんの数年しかかからないように感じられるかもしれない。

だが、地球に戻ってきたとき、知人はすべて死に絶え、何千年も前に忘れ去られているとしたら、旅にかかる時間が短くなってもどれほどの慰めになるだろう。


アインシュタインは物質とエネルギーが時空を歪めると仮定すれば、重力の影響を記述できることを示した。今日その理論は、一般相対性理論として知られている。
太陽の質量によって生じる時空の湾曲を観測するためには、太陽のそばを通り過ぎる光や電波の進路が、わずかに曲がるのを測定すればよい。
このため地球と、光または電波を出している天体のあいだに太陽が挟まったときには、その天体の位置がわずかにずれて見える。
それでも、天体の位置のずれはきわめて高い精度で測定することができて、その結果は一般相対性理論の予測と合う。空間と時間が曲がるということについては、実験による証拠があるということだ。


光の進路が曲がることから、時空が湾曲することに対して実験的な証拠が得られ、カシミール効果から、時空を負の向きに曲げることは可能だという実験的な確証が得られた。そうなると、科学とテクノロジーが前進して、ワームホールスペースワープ、タイムワープが可能になれば、過去へのタイムトラベルはできることになりそうだ。


一般相対性理論量子論を統一する理論の候補として、私たちがもっとも期待を寄せているのは、ひも理論の統一的形態であるM理論だが、この理論によれば、時空の次元は、私たちが経験している四次元ではなく十一次元でなければならない。十一の次元のうち七つは、私たちには気づけないほど小さく丸まっている。一方、残る四つの次元はかなり平坦で、私たちが時空と呼ぶものになっている。もしもこの描像が正しければ、四つの平坦な次元を、ひどく湾曲した七つの次元と混ぜ合わせることができるかもしれない。もしもそんなことができるようになれば、胸躍る可能性が開かれるだろう。


ホーキング博士は2009年にタイムトラベラーをもてなすパーティーを開きました。
本物のタイムトラベラーだけが来るよう、パーティーが終わるまで招待状は送りませんでした。その日1日お客さんが来ることを期待して待ったものの、結局誰も来なかった。
もしも一般相対性理論が正しく、エネルギー密度が正の値なら、タイムトラベルは不可能であることを示していたからある意味ホーキング博士の仮説は正しい事が示された。

 


まとめ
現在までに得られている知識によると、大きな速度での宇宙旅行と、過去への旅行ができる可能性を除外することはできない。だが、そういう旅行をすれば論理的に大きな問題が生じるため、人が過去に戻って両親を殺したりしないよう、なんらかの時間順序保護法則があることを期待される。そして希望はM理論にある。

少なくとも現時点でいずれかの人間がタイムトラベルをして過去にいったという事実はなさそうですね、今後の未来に期待です。

 

 

 

⑦人間が地球で生きていくべきなのか?

 

回答:

第一に、気候の変動。

物質的資源は恐ろしいほどのスピードで枯渇し、更にこの惑星に、気候変動という壊滅的な問題を押し付けた。気温の上昇、極地における氷冠の減少、森林破壊、人口過剰、病気、戦争、飢饉、水不足、多くの動物種の絶滅。これらはみな解決可能な問題だが、これまでのところは解決されていない。

地球温暖化は、みなで引き起こしたことだ。

そして第二に核兵器

いまや第二次核時代の幕開けに居合わせ、前例のない気候変動の時期に生きているのだから、科学者にはやはり人類が直面する危難について人びとに情報を提供し、指導者にアドバイスする特別な責任がある。

科学者たちは、核兵器の危険性を理解しているし、その影響が壊滅的なものになることを知っている。

核戦争は、いまなお人類を脅かす最大の脅威である。ロシアとアメリカは、お互いに対してかつてほど挑発的ではなくなっているけれど、何かの拍子に事故が起きたり、両国がいまも保有している核兵器がテロリストに奪われたりしたらどうなるだろう? また、核兵器保有する国が増えれば、核の危険性も高まる。冷戦が終わってからでさえ、私たち全員を何度も殺せるだけの核兵器が溜め込まれて、新たな核を保有するようになった国々が、核の危うさに拍車をかけている。時がたつにつれて、核の脅威が減少することもあるかもしれないが、ほかの脅威が現れるであろうことを思えば、警戒を緩めるわけにはいかない。

また、人間活動とテクノロジーが、地球上の生命を永遠に変えてしまいかねないやり方で、気候のシステムに影響を及ぼしていることも学びつつある。科学者達は世界市民として、自分たちが知りえたことを人びとに伝え、なしにすませる危険について警告を発する義務がある。もしも政府と社会がいますぐに核兵器を廃止し、気候変動がこれ以上悪化するのを食い止めなければ、大きな危難に陥ることが予想される。

それなのに当の政治家の多くは、世界が一連の重大な環境危機に直面しているときに、気候変動が人間活動によって引き起こされた現実の問題であることを否定するか、あるいは少なくとも、人間にはその進行を逆転させられるだけの力があることを否定している。

危険なのは、地球温暖化が、もはや止められない段階に入ること、そしてもうその段階にあるかもしれない。

北極と南極の氷冠が溶ければ、氷に反射されて宇宙空間に戻る太陽エネルギーの割合が減り、その結果として温度はさらに上がるだろう。気候変動のために、アマゾンやそのほかの雨林が消滅し、大気中の二酸化炭素を除去する主要な方法のひとつが失われるかもしれない。海水温度の上昇が引き金になって、大量の二酸化炭素が放出されることにもなりかねない。これらふたつの現象はどちらも温室効果を増大させ、地球温暖化をさらに悪化させるだろう。そうなればいまのような暮らしを続けることはできないだろう。

1997年に採択された国際的合意である京都議定書を超えてその先に進み、いますぐ炭素の放出量を削減しなければならない。そのためのテクノロジーはある。必要なのは政治的な意思だけなのだ。

そして、第三に、小惑星の衝突。

防ぎようのない事故だ。

地球に最後にそんな衝突が起こったのは約6600万年前のことで、そのとき恐竜が絶滅したと考えられている。

これはSFではなく物理法則と確率により、必ず起こることを保証されたできごとである。

 


もろもろ考え合わせると、次の千年間のどこかの時点で、核戦争または環境の大変動により、地球が住めない場所になるのはほぼ避けられないとホーキング博士は予想している。

そうであればこそ、私たちはこのまま地球にとどまるのではなく、宇宙に行くべきであると、そう述べている。

 


まとめ

まず、防ぎようのない脅威としては、小惑星の衝突。

しかしこの前そんな規模の小惑星の衝突が起こったのは、およそ6600万年前のことであり、より差し迫った危機は、制御不能になった気候変動。海洋の水温が上昇すれば氷冠が溶け、大量の二酸化炭素が放出される。どちらの現象も、地球の気候を金星のような摂氏462度というとてつもない高温にしかねない。

そして核兵器

アメリカと北朝鮮は今も睨めっこ状態であり、いつ戦争が勃発しても不思議ではない状況だ。

今後はその3つのどれかが起こるのが先か、宇宙に移住するのが先か、そういった競争になるのかなぁ。

 

 

 

⑧宇宙に植民地を建設するべきなのか?

 

回答:

 なぜ宇宙に行くのかという問いに対するわかりきった答えは、「宇宙がそこにあるから」だ。私たちは宇宙に取り巻かれている。地球にとどまるのは、無人島に漂着したきり脱出を試みないようなものだろう。人間が住めそうな場所を見つけ出すために、私たちは太陽系を探査する必要がある。


今の状況は1492年以前のヨーロッパの状況に似ている。当てのない探索の旅にコロンブスを送り出すのは金の無駄遣いだという意見もあっただろうが、新世界が発見されたことで旧世界は大きく変化した。人類が宇宙に広がれば、それよりもさらに大きな影響があるだろう。人類の未来はがらりと変わるだろうし、そもそも私たちに未来があるかどうかも、それによって決定されるかもしれない。人類が宇宙に出たからといって、地球上の差し迫った問題がひとつでも解決されることはないだろうが、問題に新たな展望が与えられるだろうし、私たちは内にではなく外に目を向けるようになるだろう。うまくすれば、共通の課題に対処するために、人類はひとつにまとまれるかもしれない。
それは長期的な計画になるだろう。

ここでは「長期」という言葉を、数百年から数千年という意味で使っている。これから30年で月に基地を持ち、50年で火星に到達し、200年で外惑星の衛星を探査できるようになるかもしれない。火星に「到達する」と言ったが、それは有人宇宙船で着陸するという意味だ。私たちはすでに火星でローバーを走らせているし、土星の衛星であるタイタンに探査機を着陸させもした。だが、もしも人類の未来を考えるなら、私たち自身が行かなければならない。


宇宙に出ることは安上がりにはいかないにせよ、そのための費用は、世界全体の財源のほんの一部にしかならないだろう。アポロの月着陸以来、NASAの予算は実質ベースではほぼ横ばいだが、アメリカのGDPに占める割合は、1970年の0.3パーセントから2017年の0.1パーセントに減っている。宇宙に進出するという真面目な努力に使われる国際的な予算を、たとえいまの20倍に増やしたとしても、世界のGDPに占める割合は、ごくわずかだろう。
気候変動や地球温暖化と闘うことの重要性を否定するわけではないが、それをやりながら、世界のGDPの0.25パーセントを宇宙開発のために捻出することはできる。
2017年の末にイーロン・マスクは、2022年までに月面基地を作り、火星探査を実現させるというスペースX計画を発表し、トランプ大統領NASAの焦点をふたたび探査と科学的発見に合わせるという宇宙政策指令に署名した、私たちが宇宙に出られる時期はもっと早まるかもしれない。


2007年にホーキング博士無重力飛行をする幸運に恵まれて、重さがない状態をはじめて経験した。それはわずか四分間のことだったけれど、実にすばらしい経験だったと述べている。「行けることなら、どこまでも行きたかった」と。
そしてホーキング博士は、「もしも宇宙に出ていかなければ、人類に未来はないだろう」とも言った。

太陽系のなかで、人間の植民地が作れそうなのはどこだろうか?当然ながら、まずは月だ。
月は地球から近くて行きやすい。人類はすでに月に着陸しているし、バギーを走らせてもいる。
しかしその一方で、月は小さくて大気を持たず、太陽から放射される粒子線(太陽風)を逸らしてくれる磁場もない。月には液体の水はないけれど、北極と南極のクレーターには氷があるかもしれない。月のコロニーはその氷を利用して、核エネルギーまたは太陽パネルで得られる電力を使い、酸素を作ることができるだろう。月は、太陽系のそのほかの天体に向かうための基地にもなってくれるだろう。


次のターゲットは火星だ。火星は、太陽から地球までの距離を、さらに半分だけ延ばしたぐらいの位置にあるため、太陽から受け取る暖かさは、地球のざっと半分になる。かつて火星には磁場があったが、四十億年前に消失したため、太陽から飛来する粒子線を遮蔽するものはない。そのため火星の大気はほとんど吹き飛ばされてしまい、大気圧は地球のわずか1%しかない。しかしもっと気圧が高かった時代もあったにちがいない。というのも、火星の表面には、水のない水路や干上がった湖のようなものが見えるからだ。現在の火星の表面には液体の水は存在できない。たとえ水があったとしても、ほとんど真空という条件下では、すぐに蒸発してしまうだろう。
このことから、かつて火星には暖かくて湿った時期があり、生命が自発的に、あるいはパンスペルミアによって(つまり宇宙のどこかから生命の種が持ち込まれて)発生した可能性がある。いまの火星に生命の形跡はないけれど、もしもかつて生命が存在した証拠が見つかれば適切な条件を満たす惑星に生命が進化する確率は、かなり高いということになるだろう。


太陽系では、月と火星がもっともスペースコロニーに適した位置にある。水星と金星は熱すぎるし、木星土星は、固体の表面を持たないガスの巨大惑星だ。火星にはいくつか衛星があるけれど、どれも非常に小さく、火星そのものより良いことは何もない。木星土星の衛星のなかには有望なものがあるかもしれない。木星の衛星のひとつであるエウロパは、表面が氷結している。だが、その氷の下には液体の水が存在して、生命を進化させた可能性がある。
そして、土星の衛星のひとつであるタイタンは、月よりもサイズが大きく質量もあり、濃い大気を持っている。NASA欧州宇宙機関カッシーニ=ホイヘンス・ミッションは、タイタンに探査機を着陸させて、地表の映像を送ってきた。だが、タイタンは太陽から遠いため非常に温度が低い。


太陽系の外に出てみてはどうだろうか?
観測によれば、恒星の周囲にはかなりの割合で惑星が存在するようだ。これまでのところでは、木星土星のような大きな惑星しか検出できていないけれど、もっと小さくて地球に似た惑星もあると考えるのが合理的だろう。
地球から30光年の範囲には、1000個ほどの恒星が存在する。そのうちの1%がゴルディ
ロックスゾーンに地球サイズの惑星を持つなら、新世界の候補は10個あることになる。

プレイクスルー・スターショット」は、宇宙に植民地を建設することができるかどうかを探るミッションです。
目的は、ミニチュア化された宇宙船「ナノクラフト」、光推進、そして位相同期レーザーという、三つの概念の実現可能性を探ることです。
わずか数センチメートルという小さなサイズで完全に機能する宇宙探査機「スターチップ」に、「ライトセイル」(光帆)を取りつけることになる。ライトセイルは、メタマテリア(天然の物質にはないふるまいをする人工物質)でできていて、重量はほんの数グラムだ。1000個のスターチップとライトセイル、ナノクラフトが宇宙に送り出され、軌道に乗ることになる。地球上では、約一キロメートルにわたってずらりと並べられたたくさんのレーザーが連結されて、きわめて強力な1本の光線を作る。そうして作られたレーザービームは大気を突き抜け、10ギガワットの出力で、宇宙空間のライトセイルに照射される。
このイノベーションの背後には、アインシュタインが16歳のときに光線に乗ることを夢見たように、光線に乗るナノクラフトというアイディアがある。ナノクラフトは、光の速度で進むわけにはいかないが、その5分の1、つまり時速2億キロメートルほどで進むことになる。
そんなナノクラフトは、一時間もかからず火星に到着できるし、数日で冥王星を通過し、一週間もせずにボイジャーを追い越して、二十年ほどでアルファ・ケンタウリにたどり着くことができる。その後、アルファ・ケンタウリで発見されたすべての惑星の画像をもとに磁場や有機分子の有無を調べ、それらのデータをレーザービームに乗せて地球に送り返す。そのかすかな信号は、レーザービームを発射するために使った、ずらりと並んだ円盤型のアンテナで受信される。ビームの復路には4年ほどかかるだろう。
この計画の重要なポイントは、「スターチップ」の経路に、主星であるアルファ・ケンタウリのハビタブルゾーンにある地球型の惑星プロキシマbの接近観測が含まれるかもしれないことだ。


「ブレイクスルー・スターショット」にはいくつか目標がある。太陽系を探査して、地球の軌道に交わる小惑星を検出することにもなるだろう。
こうした話はどれも実現の可能性があるけれど、克服すべき大きな課題もある。1ギガワットのレーザービームを照射したところで、及ぼせる力はせいぜい数ニュートンだ。だがナノクラフトは、質量がたった数グラムしかないため、ビーム出力の小ささを埋め合わせることができる。それほど軽いナノクラフトを作るためには、とてつもなく大きな工学的な課題を乗り越えなければならない。ナノクラフトは、猛烈な加速、極端な低温、真空という厳しい条件に加えて、宇宙を飛び交う陽子線にさらされる。宇宙のゴミとなった破片との衝突にも耐えなければならない。また、地球大気には乱気流があるせいで、ずらりと並んだレーザービームの焦点をぴたりと合わせて、数10ギガワットの一本のビームを作り、さらにそのビームをソーラーセイルに命中させなければならない。何百ものレーザービームを大気中に発射して、1本のビームにすることはできるのか。
それができたとして、すさまじく低温の宇宙空間にナノクラフトを送り出し、4光年の距離を隔てて信号を送り返せるようにするためには、20年ものあいだ故障しないようにしなければならない。


しかしこれらはみな工学的な問題であり、エンジニアが取り組む課題はいずれ解決される傾向がある。それほど出力の大きくないレーザーアレイでも、太陽系の外惑星や、太陽系外の恒星系、星間空間への旅にかかる時間を大幅に短縮できる可能性もある。
もちろん、たとえこの試みを有人飛行船のレベルにスケールアップできたとしても、有人の恒星間航行にはならない。なぜなら、このタイプの宇宙船は停止することができないからだ。
それでもこの計画は、人類の文化が恒星間の空間に出ていく最初の試みになるだろう。そして、もしも「ブレイクスルー・スターショット」が一番近い恒星をめぐるハビタブルな惑星の映像を送ってよこせば、それは未来の人類にとって途方もない意味を持つだろう。



まとめ
このミッションにとって、アインシュタインの理論はきわめて重要な意味を持つ。もしもその理論がなかったらレーザーはなかったし、40兆キロメートルのかなたを光速の5分の1の速度で飛ぶ宇宙船を誘導して、データを送信することもできない。


光線に乗ることを夢見る16歳の少年と、光線に乗ってほかの恒星に行くという計画の実現を目指す私たちの夢が、1本の道でつながっている。


ほかの惑星に人間を送り込むことは、もはやSFではない。それは科学的事実になりうることだ。人類はひとつの種として、200万年ほども存在してきた。
1万年前に文明が始まって以来、進化は着実にスピードを上げている。もしも人類がこれから先、さらに100万年ほど存続するなら、未来はまだ誰も行ったことのない場所に大胆に行くかどうかにかかっている。ほかに道はない。


民間宇宙旅行の時代が到来しつつある。
次の100年間で、太陽系のどこにでも行けるようになると思うが、火星よりも遠くの惑星には行けない。恒星への旅ができるようになるまでには、少し時間がかかる。
それでも500年後には、人類はいくつか近隣の恒星を訪れているだろうと述べている。しかし、その旅行は「スター・トレック」のようなものにはならないとも言っています。ワープ速度で航行できるようにはならないからです。そのため、往復には少なくとも10年、おそらくはもっとずっと長くかかると予想している。


そのうち宇宙旅行は行われそうだが、ホーキングの話からすると、今の映画にあるように、旅行には長い月日を要する可能性が高いと思われます。浦島太郎にならない事を願うばかり。

 

人工知能は人間より賢くなるのか?

 

回答:

知性は、人間にとってとても重要な意味を持っている。文明の恵みと言えるものはすべて、人間の知性が生み出した。
138億年という宇宙の歴史のなかのある時点で、何か途方もないことが起こった。その情報処理がとても知的になって、生物が意識を持った。宇宙はそのとき目覚めた。
原理的には、コンピュータは人類の知性を真似できるし、人間の知性よりも優れたものさえエミュレートできるということだ。
私たちはサルのような祖先よりも賢く進化したわけだし、アインシュタインは両親よりも頭が良かったのだから。
もしもコンピュータが今後もムーアの法則に従い、1年半ごとに計算速度と記憶容量が倍増するなら、今後100年間のどこかの時点で、コンピュータは人間を追い越すことになる。
なんらかの人工知能(AI)が、人間よりも上手にAIを設計し、人間の力を借りずに自らを
再帰的に改良できるようになれば、人間がカタツムリよりも頭が良いというレベルを超えて、機械が私たちよりも賢くなる「知能の爆発」に直面するかもしれない。それが起こったときに、コンピュータの目標と私たちのそれとが食い違わないよう、万全を尽くす必要がある。高度に知的な機械など、SFにすぎないと言ってみたくなるけれど、そういう態度はまちがいだろうし、もしかすると私たちが犯す最悪の過ちになるかもしれない。
だが、AIの潜在的恩恵はとてつもなく大きい。AIの能力が、AIのもたらすツールで拡大されたら、どれだけのことができるかは想像もつかないほどだ。病気や貧困も撲滅できるかもしれない。AIの潜在的可能性は非常に大きいのだから、私たちはその恩恵を享受する一方で、想定外の危険を回避する方法を研究することが重要だ。
AIを作ることに成功すれば、それは人間の歴史における最大のできごとになるだろう。
だが、不幸にして、リスクを回避する方法を私たちが身につけなければ、それは最大かつ最後のできごとになるかもしれない。
心配としては、AIの性能が上がって、加速的に自らを再設計できるようになることだ。
生物学的進化の速度に制約された人類は、そんなAIに太刀打ちできず、将来的には、AIは自分自身の意思を持つようになり、人間と対立するようになるだろう。
短期的には、世界じゅうの軍部が、ターゲットを自ら選んで抹殺する自律兵器システムの軍拡競争に乗り出そうとしている。国連ではそんな兵器を禁止するための条約が議論さ
れているけれど、自律兵器を唱道する人たちは往々にして、もっとも重要な問いを発することを忘れている。
軍拡競争の終着点はどこなのか、という。
AIを武装させ、AIに私たちの守備を任せてしまってよいのか。
2010年にはコンピュータ化された証券取引システムが、ほんの数分のうちに巨額の市場下落を引き起こす、いわゆるフラッシュクラッシュが起きた。コンピュータが引き金を引いたこの大暴落に相当することが、防衛の領域で起こったらどうなるか。
自律兵器の軍拡競争をストップさせるなら、最善のタイミングはいまだ。
中期的には、AIは私たちの仕事を自動化して、大いなる繁栄と平等をもたらすかもしれない。さらに先を見れば、達成できることに根本的な限界はない。人間の脳内における粒子配置よりも高度な計算ができるように粒子が配置されることを妨げる物理法則はないということだ。
数学者のアーヴィング・グッドは、1965年に、人間を超える知性を持つ機械は、自らの
設計を反復的に改良できることに気がついた。SF作家のヴァーナー・ヴィンジが言うところの技術的特異点(シンギュラリティ)だ。そんなテクノロジーが、金融市場で賢く立ちまわり、人間の研究者よりも優れた発明をし、人間の指導者よりも人心操作に長けていて、私たちには理解することさえできない兵器を使って人間を征服するというのも想像できないことではない。スーパーインテリジェントな(超知能を持つ)AIの到来は、人類に起こる最善のできごとになるか、または最悪のできごとになるだろうということだ。
AIのほんとうの危険性は、それに悪意があるかどうかにではなく能力の高さにある。スーパーインテリジェントなAIは、目標達成能力はすばらしく高いけれど、AIの目標が私たちの目標と合わなければ、私たちにとってはまずいことになる。
テクノロジーのパイオニアである、ビル・ゲイツ、スティーヴ・ウォズニアック、イーロン・マスクホーキング博士の懸念に共鳴してくれ、AI関連コミュニティには、リスク評価と社会的影響に対して意識的になるという健全な文化が根づきつつある。
ホーキング博士は2016年に、AI研究の急速な進展が提起する未解決問題のうちのいくつかに取り組むための、「知能の未来のためのリヴァーヒュームセンター」をケンブリッジに開設した。
これは、私たちの文明と、人類という種の未来にとって決定的に重要な知能の未来について研究することに捧げられた学際的な研究所である。
また、欧州議会に提出された報告書は、世界は新たな産業ロボット革命の戸口に立っていると宣言した。その同じ報告書のなかで、ロボットに電子人格としての法的権利を与えるかどうかも検討されている。電子人格は、社団法人の法的定義に相当するものだ。しかしその報告書は、AIの研究者および設計者はいついかなるときも、すべてのロボット設計において燃料または電源を遮断するためのキルスイッチを実装しなければならないと力説している。

これから数十年のうちに、AIは社会のあらゆる面に浸透し、医療、仕事、教育、科学を含む多くの領域で私たちを知能面で支え、アドバイスをくれるようになる。すでに成し遂げられたことは、これからの数十年間に起こることに比べれば色褪せて見えるだろう。私たちの頭脳がAIで増幅されたら何ができるようになるかは、予測もつかないほどだ。


まとめ
私たちはいま、すばらしき新世界の入り口に立っている。危険な面もあるにせよ、それは胸躍る世界であり、私たちはその世界の開拓者なのだ。
火を使いはじめた人間は、何度も痛い目を見たのちに消火器を発明した。核兵器や合成生物学といった、もっと強力なテクノロジーについては、あらかじめ計画を立てて最初からうまくいくようにしなければならない。なぜならそれは一度きりのチャンスになるかもしれないからだ。私たちの未来は、増大するテクノロジーの力と、それを利用する知恵との競争だ。知恵が確実に勝つようにしようではないか。

AIのことを、なぜそれほど心配しなければ
ならないのか。
人間はいつでも好きなときに、AIのプラグを
引き抜くことができるのでは?
人間がコンピュータに尋ねた。「神は存在するか?」
コンピュータはこう答えた。「いまや、神はここにいる」
そしてプラグのヒューズを飛ばした。

映画の話はもはや映画ではなく現実になってきている。今後AIによって我々の社会は劇的な変化を遂げるのであろう。
怖くもあり、楽しみでもある。
吉と出るか、凶と出るかは人間次第なんだな。

 

⑩より良い未来のために何ができるのか?

 

回答:

これまでのどの世代にもまして現在の若い人たちの未来は、科学とテクノロジーに依存するだろう。
科学は、かつてない形で日々の暮らしの一部になるだろうから、いまの若い人たちは、これまでのどの世代よりも科学を知らなければならない。
今後の問題として、地球温暖化、激増する人口のために場所と資源を見つけること、人間以外の種が急速に絶滅しつつあること、再生可能なエネルギー源を開発する必要があること、海洋汚染、森林破壊、感染症の蔓延などがあげられるが、ここにあげたものはほんの一部にすぎない。
未来には、生活、仕事、食、コミュニケーション、旅行に革命を起こす偉大な発明もなされるだろう。
月でレアメタルが採掘されたり、火星に人類の前哨基地が建設されたり、いまは治る見込みのない病気を治す方法が見つかったりするかもしれない。
ホーキング博士の考えでは、人類の未来のためにできることはふたつある。
ひとつは、人類が生きていくのに適した惑星を求めて宇宙を探査すること。
そしてもうひとつは、地球をより良いものにするために人工知能を建設的に利用することだ。
地球は人類にとってあまりにも小さくなってきた。物質資源は空恐ろしいほどの速さで枯渇に向かっている。人類はこの惑星に、気候変動、汚染、気温上昇、極地の氷冠の減少、森林破壊、動物種の大量絶滅という、ひどい贈りものをした。人口も恐ろしいほどのペースで増えつづけている。これらの数字を直視するなら、指数関数的と言えるほどの人口増加が、これから1000年も続くはずがないのは明らかだろう。別の惑星への移住を考えるもうひとつの理由は、核戦争が起こる可能性があることだ。地球外生命がまだ接触してこないのは、私たちぐらいのレベルに到達した文明は不安定になって自滅するからだという説がある。いまや私たちは、地球上のあらゆる生物を殺せるだけのテクノロジーを持っている。北朝鮮で最近起こったできごとを見るにつけ、残念ながらその説は正しいのかもしれないとも思わされる。
しかし、起こりうる最終戦争は回避できると信じている。
そのための最善の策のひとつは、宇宙空間に住処を移して、人類がほかの惑星で生きられるかどうかを探ることだ。
人類の未来に影響を及ぼしそうな別の展開は、人工知能の勃興だ。
テクノロジーホーキング博士の人生に途方もなく大きな影響を及ぼした。ホーキング博士はコンピュータを通して言葉を発し、アシスティブ・テクノロジー(福祉機器)のおかげで、病気に奪われた声を取り戻した。
そのあいだに世界は劇的に変化し、テクノロジーはかつてない形で世界に影響を及ぼすようになった。
テクノロジーが賢くなるにつれて、予想もしなかった可能性に扉が開かれた。障がい者支援のために開発されたテクノロジーは、かつてコミュニケーションの壁だったものを率先して打破している。障がい者支援のための研究開発は、しばしば未来のテクノロジーの性能試験場だ。
未来には、そのほかにも多くのことが起こるだろう。そんな未来像が、今日の小中学生を大いに刺激してくれることを願っている。
どんな道を選ぶにせよ、すべての若者は、科学のさまざまな科目に親しみ、それらに自信を持つべきだと思う。
最先端の科学技術とその応用を理解できるのは一握りのスーパーエリートだけだという世界は危険だし、貧しいのではないだろうか。
悪くすると、最先端のテクノロジーが私たちに害をなすような使い方をされるかもしれず、それを阻止できないということにもなりかねない。
ホーキング博士は限界というものを信じない。個人が私生活のなかでできることについてであれ、この宇宙のなかで生命と知能にできることについてであれ、限界があるとは思わない。
これから50年のうちに、この世界が大きく変化するであろうことに疑問の余地はない。ビッグバンのときに何が起こったのかもわかるだろう。地球の生命はいかにして生じたのかもわかるかもしれない。さらには、宇宙のどこかに生命が発見される可能性もある。知的な地球外生命とコミュニケーションをする可能性は低いかもしれないけれど、それでも地球外生命を発見することは重要だ。なぜならその発見は、やるだけのことはやらなくてはいけないということ、そしてあきらめてはいけないということを意味しているからだ。
科学の試みと技術革新によって、地球上の問題の解決に努めながら、広大な宇宙に目を向けなければならない。
いずれはほかの惑星上に人類が住める場所を作り、地球を超えて、宇宙で生きていくすべを身につけるだろう。これは物語の終わりではなく、生命がこれから何10億年も宇宙で繁栄する物語の始まりにすぎない。


まとめ
顔を上げて星に目を向け、足元に目を落とさないようにしよう。
それを忘れないでほしい。
見たことを理解しようとしてほしい。
そして、宇宙に存在するものに興味を持ってほしい。
知りたがり屋になろう。
人生がどれほど困難なものに思えても、あなたにできること、そしてうまくやれることはきっとある。
大切なのはあきらめないことだ。
想像力を解き放とう。
より良い未来を作っていこう。


大小を問わず、社会を変革するアイディアのうち、人類が実現させるのを見てみたいものは何か。
ホーキング博士は答えた。
「この問題に答えるのは簡単です。クリーンエネルギーを際限なく供給する核融合の発電が開発されて、ガソリン車から電気自動車に切り替わるのを見てみたい。核融合は現実的なエネルギー源となって、汚染や地球温暖化なしに、消費しきれないほどのエネルギーを供給してくれるでしょう。」と。

さぁ、顔を上げよう。これから未来は急激に変化を遂げていく。そこでは今出来なかった事ができるようになり、新しい役回りが訪れるだろう。

今の世の中に絶望する暇があったら新しい未来で何ができるかに目を向けよ!

 

10の質問の答え、いかがでしたか?

理解できないことも多くありましたが、ホーキング博士の思っていたこと、危惧していることなど。思いは伝わりました。

私は私のやり方で、世の中を正しい方向へ、病人の少ない世界へ、心の豊かな国へ、よい世界を目指します!

ホーキング博士、安らかに。

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今も星に囲まれて輝いていますか?