匿名医師ブログ

こんにちは!匿名医師です、現役医師(専門医取得済)による日記です。一般の方からの質問に答えているのでちょっとずつ載せていきます。http://www.freelifedoctor.com/ よろしくお願いいたします!

5Gの介護への活用!

医療・介護も、5Gが期待される分野です。
5Gになると障害発生などによる中断や停止が許されない業務を遠隔から行うことができます。


介護の分野でも活躍が期待されます。
遠隔手術の項でも言及したように、5Gはその超信頼・低遅延という特性から、センサーでの情報取得をトリガーとして、解析と判断、フィードバックまでを即時に行うことができます。外部環境の変化や入力情報をもとに、即座にアクチュエータ(電気信号をロボットなどの物理運動に変換する装置)を駆動させることができるため、ロボティクスへの採用が有効です。
高齢化の進むわが国では、被介護者の増加と介護者の不足から、介護ロボットへの期待は高まる一方です。なおロボットとは必ずしも人型をしているものではなく、人間の代わりに自律的に稼働して生活や仕事を助けてくれるものとします。
まず、介護ロボットには被介護者を支援するものと、介護者を支援するものがあります。被介護者を支援するロボットとは、歩行や食事を含めた、生活の自立支援を行うものです。最も一般的なものは歩行が困難な被介護者のための電動カートでしょう。電動カートはロボットなのかという疑問があるかもしれませんが、次世代型電動車いすの開発を行うWHILLのカートは、自動運転、自動停止、衝突回避、追従・隊列走行の機能を保有し、音声入力で対話をしながら搭乗者を目的地までナビゲーションすることが可能です。
ブルートゥース機能を内蔵し、スマートフォンで遠隔から操縦したり、走行距離を確認したりすることもでき、電動カートの概念を超えた、移動支援ロボットといえるでしょう。
このような電動カートに5Gが搭載されれば、被介護者がどこにいても、介護者や家族がその場所を把握できたり、被介護者の電動カートが何らかの事情で転倒した場合に駆けつけたりといった見守り機能が実現できるでしょう。また、車道走行のような危険な運転をしている場合には歩道に寄せるというように、万が一の際には遠隔から制御するといったことも可能になります。
さらに、自宅や病院、介護施設といった場所では、自動運転で目的の部屋や場所まで移動するなど、被介護者の運転の負担を下げる工夫もできます。被介護者を支援するロボットが通信することにより、家族や介護者がよりきめ細かな介護ができるようになります。4Gでも見守り機能は実現できますが、5Gであれば見守るだけでなく、万が一の際に制御できる、介入できるという点が異なります。

介護者を支援するソリューションとしては、介護者の体に装着して筋力以上の力を発揮できるようにする「パワーアシストスーツ」を取り上げます。必ずしも介護士を目的に開発されているわけではありませんが、介護においては被介護者の移動を行う際に体力的な負担が大きく、労働力不足や在宅介護の問題をより深刻にしているという側面があります。パワーアシストスーツは有効な解決策となる可能性を秘めています。
この分野をリードする企業であるサイバーダインは、皮膚からの生体電位信号を検知して、装着者の意思にそった体の動きを支援する世界初のパワーアシストスーツ「HAL (Hybrid Assistive Limb)」を開発しました。
「人間が膝を曲げようとしたり、腰を伸ばそうとしたときに、脳から神経を通じて筋肉に信号が発信されます。その際に微弱な生体電位信号が体の表面に現れるため、それを検知して装着者の動かしたい意思の通りに装着したパワーアシストスーツが駆動します。それによって、筋力以上の運動を可能とするソリューションです。
被介護者をベッドから電動カートへ移乗させたり、ベッドでの体の向きを変えたりといった業務を行う際の負担を低減します。
パワーアシストスーツは必ずしも外部との通信を必要としませんが、パワーアシストスーツにより介護者の筋力を強化して介護業務を支援するという考え方を拡張すると、筋力が必要な介護業務を完全にロボットに代替するというアプローチも取りえます。
実際に、トヨタ自動車の「移乗ケアアシスト」やパナソニックの「離床アシストロボット・リショーネ Plus」など、専用のソリューションもすでに提供されています。
ただし介護の現場にはいろいろな力仕事があり、より汎用的なロボットが求められるでしょう。
2018年1月、トヨタ自動車NTTドコモは、トヨタ自動車の人型ロボット「TIHR3」を5G通信によって遠隔操縦する実験に成功しました。
「この人型ロボットの操縦方法は一般的なコントローラーによるものではなく、操縦者の体中にその動きを検知する装置をつけ、操縦者の動きとまったく同じように遠隔の人型ロボットを動かす、という方法をとっています。まるで操縦者がロボットを設置した場所に存在するような活動を再現できることから、「テレイグジスタンス(遠隔存在)」といわれています。
操縦者が動く通りに遠隔の人型ロボットを動かすためには、操縦者のあらゆる動きを検知し、それを確実に遅延なく人型ロボットに伝送する必要があります。そして、人型ロボットの挙動を確実に遅延なく操縦者に伝送し、操縦者が操縦できるようにしなければならないことから、これまでは有線接続で実験が行われてきました。しかし、人型ロボットを有線接続すると行動範囲が限定されます。高速大容量、超信頼・低遅延を実現する5Gによって、ワイヤレス化が実現されるのです。
5Gがテレイグジスタンスを実現することによって、介護現場の力仕事をすべてロボットに任せられれば、介護者の負担を大きく削減することができます。一人の遠隔介護者が、複数の介護施設のテレイグジスタンスロボットを操縦できれば、介護業界における深刻な労働力不足の解決策にもなるでしょう。
・ロボティクスは5Gの通信要件との親和性が高く、有望な活用用途のひとつとされていますが、特に高齢化に伴う需要拡大と労働力不足で問題が深刻化している介護界ですが、今後5Gにより変わっていく事を期待します。