ブラックジャックで学ぶこと。第4章 言葉で損をしない!
第4章 言葉で損をしない!
①「相手に知らせるべきだけど、知ったら傷つくかもしれない」
そんな不安がある時は、あいまいな表現で伝えたくなるもの。
しかし、事実がちゃんと伝わらなければ伝えていないのと同じ。
伝えるべきことを伝えないのは、優しさではなく無責任とも言えるのです。
ブラック・ジャックは、どんなにきついことも、その場で正直に話します。
ぼやかしたり隠したり後回しにして、うやむやにすることはないのです。
ぶっちゃけずに正直に!
もちろん、何も考えずにぶっちゃけてはいけません。
大切なのは、誠意を持って正直に話すこと。
そして、言いにくいことをズルズルと後回しにしたり、直接言うべきことをメールなどでおろそかにしないこと。
仕事において、言いにくいことの多くは、すぐに直接言うべきことなのです。
下手に気を使って隠すより、正直に事実を伝えること。
「~思う」「~かも」ではなく、言い切ること。
人に響くのは、「誠意のある断定的な一言」だ。
②作業の途中、もしくは作業が終わった後、
「最初と話が違う!」と揉めてしまうことがあります。
作業が進んでいればいるほど、怒りは増し、関係も悪化してしまうもの。
ブラック・ジャックは、手術する前に条件をはっきりと提示しています。
後で揉めないよう、事前に納得のいく約束を取り付けるのです。
揉めるなら最初に揉めろ!
「条件を言うと『うるさい奴』と思われないか」と気になるのは一瞬でも、「条件を言えばよかった」という後悔はずっと続きます。
そうならないためにも、作業に入る前に条件提示をクセにすること。
そして、必要に応じて証拠を残しておくこと。
どんなに作業がうまくいっても、お金や条件で後から揉めては台無しです。
作業後に揉めれば、相手が悪くても自分が損をしてしまう。
作業前に条件を共有し、言った言わない問題をゼロにしよう。
③話が通じない相手は、どこにも絶対にいます。
しかし、そんな相手に反論してしまうと、自分の使う言葉がどんどんネガティブになっていくもの。
「批判の応酬」という何も生まない空虚な時間だけが過ぎ、悪い空気を引き寄せてしまいます。
「時間浪費」の反論禁止!
ブラック・ジャックは、けなされたり悪態をつかれても、反論することはほとんどありませんでした。
話が通じない相手とは、そもそも向き合おうとしないのです。
相手が持つ負の世界に引き込まれる前に、グッとこらえて無視すること。
「反応しない」「受け流す」「さっさと折れる」
自分の時間を浪費しないよう、上手に心を無にすることが大切です。
一瞬のすっきりのために、無駄に反論してしまうか。
一瞬だけこらえ、無視して自分の作業に没頭するか。
あなたの時間の正しい使い方はどっちだ。
④仕事において、自分から話を切り出せる機会は限られています。
一度誰かが話し始めれば、あとは切り返しの連続で会話は成り立つもの。
つまり、コミュニケーションはほぼ「切り返し」でできているのです。
ブラック・ジャックは、医療スタッフや患者に対して、感情的に言い返すのではなく、理論的に切り返し、論破しています。
「話し上手」より、「切り返し上手」に!
自分の考えを一方的に語る「話し上手」より、相手の話にうまく対応する「切り返し上手」になること。
自分の「言いたい こと」だけを伝えても、相手には響きません。
相手の話をふまえて、相手が「言ってほしいこと」を伝えて味方にする。
相手の話の隙を見抜き、相手が「言われたくないこと」をズバリと指摘する。
そのほうが、「言いたいこと」を言った時より、望む結果が得られるはずです。
話の切り出し方より、切り返し方に重きを置こう。
会話上手はたいてい、聞き上手。
相手の話を聞き、うまく切り返す人が仕事を制するのだ。
⑤仕事では「しゃべるのが苦手」「私は人見知り」といった態度は通用しません。
たとえ初対面の相手とでも、会話を広げようと努力するのは仕事のマナー。
「相手が興味を持てるか」「理解できるか」を意識して話す必要があります。
ブラック・ジャックは、これからやろうとしている手術の危険性を、ゴボウとトマトを使ってピノコに分かりやすく説明しています。
専門的な話をどう噛み砕 い て話せば伝わるか、心得ていたのです。
共通言語は「たとえ話」!
「話すことがない」「説明が難しい」と思った時は、誰でも知っていることや、相手が興味を持っていることを見つけてたとえ話をしてみましょう。
食べ物や天気などの身近な話に置き換えたり、趣味の話でたとえたり。
「会話がうまい人」の多くは、「たとえ話がうまい人」なのです。
興味を引き、理解を促し、場を和らげるのがたとえ話。
その時に必要なのは、難しい知識より、相手の理解力や好みを想像する優しさだ。
⑥建前の会話が飛び交う中で、本音はとても有効な説得方法の1つ。
不安や弱みを正直にさらけ出すほうが、場合によっては正論を振りかざすより説得力があるのです。
ブラック・ジャックは、本音をうまく使いこなしています。
相手やシーンに合わせ、思いをそのまま口にして、「まぁそうだよな」という共感を引き出しているのです。
「本音」で相手のガードを下げる!
人は当たり障りのない建前より、むき出しの本音に耳を傾けたくなるもの。
無防備な相手を攻撃しようと思う人は少ないように、心のガードを下げて話せば、相手もかえって攻めにくくなります。
それどころか相手もガードを下げ、思いを打ち明けやすくなるはず。
本音は、好意的な関係を築くきっかけにもなるのです。
誰もがうわべだけの会話に飽きている。
シーンを見極め、不安や弱みを戦略的に打ち明けること。
相手の心に刺さるのはいつだって、建前より本音だ。
⑦「かも」「だろう」「らしい」といったあやふやな憶測を口にしてしまうと、周りを振り回し、信用を失うきっかけになってしまいます。
重要なことであればあるほど、過度に期待させず、無駄に絶望させず、確実な情報だけを伝えることが大切です。
ブラック・ジャックは、難しい手術を終えて「治るかも」と希望を抱いても、患者には「まだ分からない」と伝えています。
自分の憶測だけで、患者にぬか喜びを与えることはなかったのです。
過度に期待させない、無駄に絶望させない!
失敗の可能性もあるのに、楽観的な言葉で気を緩めさせたり、成功の可能性もあるのに、悲観的な言葉で諦めさせないこと。
根拠のない憶測で相手を振り回すことほど、無責任なことはありません。
「かも」「だろう」「らしい」という言葉を使う時、相手の期待や不安を煽っていないか気をつけよう。
「言葉が軽い人」と思われたらおしまいだ。
⑧相手の何気ない一言が、自分の心にずっと残ることがあるように、言葉1つで人間関係は良くも悪くも大きく変わります。
ブラック・ジャックは、弟を気安く病人呼ばわりする兄を見て、「病人ではない!」と大声で叱りました。
自分が幼い頃に病人扱いされた時の気持ちを考えると、黙っていられなかったのです。
「たった一言」にいちいち悩め!
言ったほうは一瞬で忘れても、言われたほうは一生覚えていたりするもの。
話す前に「この言葉を使われたら、自分はどう思うだろう」と想像すること。
話した後に「あの言葉は相手を傷つけていなかったか」と反省すること。
使う言葉にいちいち頭を悩ませる人こそ、信頼される人なのです。
「一言」に気を使えない人は、無駄に相手を傷つける人。
言葉は使い方次第で、「身を守る武器」にもなれば、「トラブルを起こす凶器」にもなると自覚しよう。
⑨「嫌いな人」「知らない人」の言うことに「従いたい」と思う人はいません。
逆に「好きな人」「親しい人」の言うことは、少々納得がいかなくても「仕方ないな」と思って聞き入れることもあるはず。
つまり、説得のシーンでは「好き嫌い」が大きな影響を及ぼしているのです。
「何を言うか」より「誰が言うか」!
ゴーストタウンで偶然出会った男を手術したブラック・ジャック。
あとからその男が逃走中の脱獄囚だったと知った彼は、男の元恋人を連れてゴーストタウンへ引き返します。
自分より、元恋人に説得させたほうが、男の心に響くと考えたからです。
説得する時は、「何を言うか」と同じくらい「誰が言うか」に気を注ぐこと。
どんなに正しいことを伝えても、「オマエが言うな」と思われてしまえば、そこで説得失敗なのです。
説得に必要なのは、「最適な一言」と「最適な人」。
自分が言うべきでないと思ったら、他の人に役目を譲ること。
人は「正しい人」より、「好きな人」の意見を聞くものだ。
⑩自分のアイデアや仕事が批判されると、誰でもいい気はしません。
しかし、人が成長できるのは耳が痛い言葉を受け入れた時。
聞き流したい時、反論したい時こそ、相手の言葉に耳を傾けるべきです。
ブラック・ジャックはある日、山田野先生からこんな忠告を聞かされます。
「人間のからだをあなどっちゃいかん あなどってかかるときっとしっぺがえしをくらうぞ」
しかし、笑って聞き流したブラック・ジャックは、その後の手術で失敗。
山田野先生の言葉の意味を思い知らされることとなったのです。
「耳が痛い」は伸びる時!
痛いところを突かれると、無視したり言い返したくなるもの。
しかし耳が痛いのは、相手の言葉が正しいことの裏返しとも言えます。
それを素直に聞くことは、自分の中にある膿を吐き出すチャンスなのです。
ムカッとくる言葉こそ、自分の急所を突いているもの。
耳が痛い言葉を受け入れるのは、自分の弱点を改善するために必要な「成長痛」なのだ。
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね。」
この一言の重さ、忘れない。
儚い命。
所詮医師にもその人の辛さと苦しみはその人にしか分かりえない。