匿名医師ブログ

こんにちは!匿名医師です、現役医師(専門医取得済)による日記です。一般の方からの質問に答えているのでちょっとずつ載せていきます。http://www.freelifedoctor.com/ よろしくお願いいたします!

遠隔医療と遠隔手術、日本の医療の未来とは?

あなたは遠隔医療と言うものをご存知ですか?

今、国は遠隔医療を認める方向に動いています。

薬が欲しければテレビ電話で診察を行い、処方が家に届きます。

制限はありますが、既にこの制度(遠隔診察)は開始され、世の中で行われています。

知っていましたか?


遠隔診察は医師と遠方にいる患者とを高品質のテレビ電話で問診したり、電子カルテやレントゲン写真を電子化して共有したりすることで、患者が自宅から診察を受けることができる、というものです。


医師不足の地域や、クルマの運転ができないなどの理由で自宅からの移動が困難な患者の要請に応えることを目的としていましたが、現在は適応も広がってきています。
4Kカメラやテレビ電話で画像を共有したりコミュニケーションを取る事で診察や情報の共有を行います。
またこれによって内視鏡機器の使用方法などを遠隔で教育したりする事も可能になります。


そしてその先には「遠隔手術支援」を見通してます。


遠隔手術支援とは、ある医師が手術をしている状況を別の場所にいるベテラン医師が把握して適切なアドバイスなどをするような技術です。
ドクターエックスなどよく映画などで手術の様子を院内で眺めてますが、手術中の部位の拡大映像や状況を遠方の医師も閲覧し、連携して医療を行うといったようなものです。
都内では既に東京女子医科大学のスマート治療室「SCOT」などネットワークで接続し手術中の画像などを一元管理するようなプラットフォームが開発されています。
手術では現在ナビゲーション支援といって患者さんの身体をCTで読み取り機械でscrewを打つ位置などをナビしてもらったりするようなシステムが開発され実用されていますが今後は遠隔にいるベテラン医師が手術内容に関してナビするようなシステムが構築されていくでしょう。
実際に中国でも既に遠隔で指示を出したりして心臓血管手術が行われていますし、3Dプリントを使用して前もって患者さんの心臓の形の情報をリアルに共有してあるのでアドバイスもしやすくなっています。

 

そして、更には遠隔手術という技術もあります。

遠隔手術でいうと、5Gの低遅延通信は、配線も必要なく、医師の操作を遅延なく伝送できるため今後広まっていく可能性もありますが、何らかの理由で通信に障害が起きると致命的な事故に至るため、患者の受容性の観点で実現のハードルは高い事は事実です。

ですが、手術室の中で、医師の挙動を伝送してロボットに手術させること自体はすでに広く行われています。

1999年に米国インテュイティブサージカルから発売された手術ロボット「ダヴィンチサージカルシステム」は、小さな傷口で内視鏡手術を実施するためのソリューションで、直径の小さい内視鏡とロボット鉗子群で構成されます。

(ちなみに私の中高の親友はその機械を作った会社で働いています)

 

2014年より日本国内においても開始され実績を重ねています。
2019年1月5日の新華網では、中国福建省福州市にあるチャイナ・ユニコムの研究所と、そこから約3㎞離れた福建医科大学を5Gでつないで、チャイナ・ユニコムにいる医師が伝送される高精細映像を見ながらロボットを操作し、福建医科大学の豚の肝臓手術をしたという発表がなされています。術後の容体は安定しており、手術は成功したとも伝えられています。
豚の手術ではありますが、伝送の遅延が致命的な事故に至るミッションクリティカルな操作を遠隔で実現しており、5Gならではの活用例といえるでしょう。

私の病院にもダヴィンチがあります。

その機械は何なのか?

簡単に言うと機械が手術をするのです。

どういうことかというとゲームセンターのように機械の横に人が座ります。

座った人はその箱の中で機械を操作します。すると機械はその操作に従って動きます。

要するに遠隔で手術を行うのです。




 

ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)とは?

以下参照

カメラで体の中を観察し、鉗子と呼ばれる手術器具で手術をする点については、これまでの腹腔鏡手術と変わりありません。

ダ・ヴィンチ手術では、術者が鉗子を直接握るのではなく、患者さんの隣に置かれたコンソール(コクピット)に座り、アームを操作する事で手術を行います。

手術する医師は手術部位を3Dカメラで撮影した映像を立体画像で確認しながら、内視鏡とロボット鉗子を1㎝前後の傷口から挿入して遠隔操作します。

術者の手の動きはリアルタイムに鉗子先端の動きとして再現され、精密な手術が行われます。

皮膚や筋肉の切開を最低限に抑えた低侵襲式の手術であり、医師の手振れを制御できるため繊細な操作が可能という観点から、通常の手術の代替というよりは、より高度な手術を可能とするソリューションとして位置づけられています。


ダ・ヴィンチには4つのアームがあり、カメラと3本の鉗子で手術が行われます。
術者は隣のコンソール(コクピット)で手術を行います。
術者の手の動きは、リアルタイムにダ・ヴィンチ鉗子へと伝えられます。
これまでの腹腔鏡手術も、傷は小さく、体への負担を減らすことが出来ていました。しかしながら、腹腔鏡の鉗子は曲がらないため直線的な動きしか出来ず、行きたいところに鉗子が届かない「可動域制限」が、腹腔鏡の最大の弱点として指摘されていました。
ダ・ヴィンチの鉗子には多数の関節が付き、鉗子の自由度が上がったことにより、体の奥深くにおいても人間の手のような複雑な動きが可能です。

つまり、可動域制限を克服したのがダ・ヴィンチの最大の特徴と言えます。鉗子の先端には様々な種類があり、多様な手術操作を行うことができます。
もう一つのダ・ヴィンチの特徴が、「3D視野」(立体視)です。術者が座るコンソール(コクピット)では、右目と左目の両方から視野を得ることが可能であり、3D視野による正確な位置感覚に基づきながら、操作を行うことが可能です。
その他、術者の手の振幅を小さくする「モーションスケール機能」が備わっており、より精密な手術が可能となりました。
保険適用のダ・ヴィンチ手術の費用については、限度額適用認定証をご提示の場合は、病院窓口での負担額が限度額までの金額となります。
【一般の方の場合】(所得に応じて限度額の区分が異なります)
70歳未満の場合:約100,000円
70歳以上の場合:約57,600円

 

 

今後どういう未来が待っていると思いますか?

そうです、遠いところにいても、大げさに言うと、海外にいても手術ができるのです。

更には手ブレ補正なども可能になります。

ですので、海外の名医にしか手術ができないような場合も遠隔で手術が可能になるのです。

海外に行かなくても、日本のどこにいても、指名した医師に手術をしてもらう、そんな世の中が待っています。

 

これは、我々にとってもかなり大事な話です。なぜなら、腕次第では淘汰される可能性があるからです。

実力のない外科医はいらない、そんな時代が近付いているのです。

腕が良い医師はどこにいても依頼されてロボットで手術を遠隔で行う、そうゆう未来が待っている可能性があります。

もちろん信頼とは直接医師と患者が話して築かれるものですが、外科医はこの未来を心して腕を更に磨いていく必要があると感じます。

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