尿からがんの罹患を検知、Icaria (イカリア)!
ほぼ全てのがん、脳疾患、心疾患、認知症、うつ病などさまざまな病気に罹患しているかどうか、尿によって検査できる日が来るかもしれない。
それはもはや未来の可能性の話ではないという。
イカリアは来年の夏にはその尿検査サービスを商品化する予定だ。
鍵を握るのは、体内のさまざまな細胞から分泌される直径50〜150nm(10億分の1m)の顆粒状のエクソソームと、それに含まれるマイクロRNAという遺伝子情報だ。
ある細胞から放出されたエクソソームは他の細胞に取り込まれ、その中にあるマイクロRNAが受け取り側の細胞の遺伝子に働き掛けることが分かっている。
そのマイクロRNAの内容によっては、受け取り側の細胞をがん化しやすい性質に変えてしまうというのだ。
そうして、がんの罹患や転移、再発を促してしまう。エクソソームは細胞間の運搬カプセルといえる。脳に薬を運ぶドラッグデリバリーの分野でも注目されている物質だ。
イカリアの小野瀬隆一CEOは「エクソソームとマイクロRNAの存在は以前から知られていたが、近年まで何のために存在するのか分かっていなかった。その働きが 明らかになったのはここ数年のこ と。国立がんセンター研究所がん転移研究室室長で、東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広教授らの研究が、当社の技術の基礎になっている。」と言う。
マイクロRNAは全部で2500種類あり、一般に人はそのうち1300種類ほどを保有していて、何をどれほど保有しているのかは人によって異なる。
肺がん患者ならばこの物質が多くこの物質が少ない、脳腫瘍患者ならばこの物質が多くこの物質が少ない、健康体ならばこの物質が多くこの物質は持っていないなど、疾患ごとに異なる分布傾向が見られるという。
これまで、いかにして人体からマイクロRNAを捕捉するのかが課題であった。
従来は血液から探取し分析していたが、最大で300種類ほどしか分析できなかった。
しかし名古屋大学大学院分子生命科学の安井隆雄准教授(同社共同創業者)の発明により、尿から静電相互作用(電気分解)によってエクソソームを採取し、2500種類のうちの9%以上のマイクロRNAを分析する技術を確立したのだという。
安井准教授と落谷教授の共同研究による論文が2017年に発表され、8年5月に小野瀬氏が加わりイカリアを創業した。
イカリアは現在、大学病院や研究機関との共同研究によって、疾患のある人の尿サンプルをAI(人工知能)が読み込み、機械学習によってパターン化する作業を行っている。
その研究は、あらゆる治療および検査のスタート地点になる可能性を秘めている。
キーワード マイクロRNA
資本金 1736万円
代表者 小野瀬隆一CEO
設立年 2018年
5年後の可能性 尿から特定できるがんの種類が大幅に増える。
これも最近テレビでもやっていましたね。尿で癌が分かる、時代の進歩を感じますね。
人間の可能性。いつか、がん細胞のみを殺すような薬もできるはず!